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我が国のCO2排出量削減に豊富な森林資源の積極的な活用を

日本政府は地球規模の気候変動防止策を巡る「パリ協定」に基づき我が国へ求められるCO2排出量の削減目標を達成するため、これまで長年に亘って電源構成のエネルギー源として主役を担ってきた化石燃料の利用を可能な限り抑制し、2050年までに国内の「カーボン・ニュートラル」を達成する方向へ軌道修正することを決定しました。しかし、電力産業界のエネルギー源に占める化石燃料の割合が極めて大きい現状から、これに代わる膨大な分量の持続可能なエネルギー源を確保するのは容易でないことに疑問の余地はありません。

2018における日本国内でのCO2年間排出量(METI)統計で全体の約37%を占める電力産業界からの排出量を効果的に削減できる見込みがある代替エネルギー源としては原子力と再生可能エネルギー(再エネ)が挙げられます。その中で原子力の利用拡大に関しては「目下、運転休止中にある原子炉の多くを運転再開すればCO2排出量を効果的に削減できる」とする安易な解決策も提唱されるなか、原子力の利用に際しては放射性廃棄物の最終処理という重大な未解決課題の解決を次世代へ先送りせざるを得ないことから、SDGsの目標に叶うエネルギー政策から排除されます。

他方、原理的にSDGsの目標に叶う再エネの発電利用では、発電量が気象条件に依存し電力需要へ任意に対応できない風力発電や太陽光発電の割合が高まる程に「夜間の凪」なる最悪条件下でも電力系における需給のバランスをとるために必要となる「バックアップ電源」確保の重要性が高まります。この電源に求められる、SDGsの目標に叶いながら大量の電力を柔軟性をもって供給できるという要件を満たす一選択肢としてバイオマス発電があります。

我が国に豊富な森林資源が主に経済的な理由から山中で眠ることも多い中、再エネ発電に対するFIT制度が適用されるバイオマス発電の積極的な活用は、いわゆる「山荒れ」を防止する付帯効果もあり、政府が掲げる「カーボン・ニュートラル」目標を達成するための最善策になるものと思われます。


2021年11月29日

三枝 泰證

 
 
 

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